恋愛セミナー5【若紫】第五帖 <若紫 わかむらさき> あらすじ源氏は病気になり、祈祷でなおしてもらうため北山に行き、その近くで思いがけず藤壺の女御にそっくりな10歳くらいの少女・若紫をみかけます。そのあまりの美しさに驚き、たずねてみるとやはりその少女は藤壺の兄・兵部卿宮(ひょうぶきょうのみや)の娘で、藤壷の姪にあたることがわかりました。 若紫の母親は兵部卿宮の正妻に対する気苦労から亡くなっていました。源氏はぜひとも自分が引き取り育てたい、と若紫の祖母である尼君(あまぎみ)に申し出ますが「まだなにもわきまえませんので。」と制されます。ただ、尼君も病気がちなので、若紫がもう少し成長してからとも言うのですが、源氏は待ちきれない思いでいます。 病気が治った源氏が宮廷に参代すると桐壺の帝も左大臣も喜んで迎えました。なかなかやってこない源氏を左大臣はそのまま葵上のもとに連れてゆきます。久しぶりに会ってもよそよそしい葵の上。二人の仲はしっくりきません。 そのころ、藤壺が里に下がっていると聞き、源氏は強引におつきの王命婦(おうのみょうぶ)に手引きさせ、関係を持ちます。源氏はそのあと奇妙な夢を見るので占わせると「帝王の父になる。その前に謹慎しなくてはならない。」と言われ、驚愕します。やはり藤壺は懐妊していたのでした。皇子誕生を喜ぶ桐壺の帝といたたまれない思いの藤壺と源氏。 とうとう尼君が亡くなり、若紫は父親の兵部卿宮に引き取られることになります。 そこで源氏は若紫を連れ出してしまい、二条の美しい自邸に住まわせます。最初はおびえていた若紫でしたが、源氏や同じ年頃の少女が周りにいる環境にしだいに慣れ親しんでゆくのでした。 恋愛セミナー その5 前回に続き、ダイナミックな帖ですね。 1、源氏と若紫 身代わりとはまだ気づいていない幼い娘。 2、源氏と藤壺 理想の女性とそれをもとめる男。 3、源氏と葵の上 夫婦。夫が他に気を取られているのに気づいている妻。 4、桐壺の帝と源氏 コキュになっても息子を可愛がる父。 5、桐壺の帝と藤壺 苦悩する妻と大切にあがめる夫。 6、左大臣と源氏 娘と義理の息子をなんとか取り持とうとする父。 7、兵部卿宮と源氏 妹も娘も知らずに奪われている。 身代わりの連鎖にお気づきでしょうか? 藤壺の身代わりは若紫。少女の頃から育てれば思い通りの妻になる。 若紫はまた、思い通りにいかない妻・葵の上の身代わりでもあります。 葵の上との関係の代わりに、藤壺との関係を強行したとも言えます。 葵の上としっくりいっていたら源氏が藤壺に対してこれほど思いつめることはなかったかもしれません。 子どもを育てれば自分の思い通りになる、という源氏の思いが別の意味で通じたのか、源氏は父親になります。 桐壺の子どもである源氏自身が、桐壺の思い通りになどなっていないことには気づいていないままに。 前回の伊予の介に対する空蝉との関係と同じように、桐壺の帝に対して、藤壺と源氏の関係があります。 桐壺はこのことに気づいていたのでしょうか? 気づいていて、自分も藤壷を身代わりの連鎖に投げ入れたことの代償として受け止めていたのでしょうか? ***日記に同じ内容が掲載されています。必ずお返事いたしますので、 よろしかったら日記にコメントいただけるとうれしゅうございます。 よろしくお願いいたします。*** ジャンル別一覧
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